岐阜県中津川市蛭川田原 カリ長石・煙水晶(未処理)

0

多くの鉱物は塩酸やシュウ酸による漬け込みでクリーニングされ、鉱物本来の美しさを際立たせてから販売されています。ミネラルショーで販売される国産水晶も多くが酸処理済み。褐鉄鉱やマンガンに覆われたものだと、茶色や黒のままで何の鉱物か分からないものもありますから、必要な処理と言えるでしょう。

でも、処理しないままで美しいものも中にはあると思います。こちらは東京ミネラルショー2023、いつものハイノ商会様にて入手のペグマタイト。赤茶色の酸化鉄に覆われたカリ長石に、赤黒く変色した煙水晶(一部両錐)、カリ長石を貫いて生えた雲母も変色しています。根元の割れたカリ長石は、しっかりと乳白色です。

これを酸処理すると、恐らく味気ない普通のカリ長石と煙水晶。それはそれで販売されている美結晶になり得ますが、元の色味であれば、それは鉱物に付加された「味」になります。また、出てきた当時の産状を表すものにもなります。

中津川のクラスターの多くはクリーニング済みで、そうでないものがあっても良いと思っていましたから、この水晶はお気に入りの一つになっています。

Default