アートバーゼルとは?

1970年からスイス・バーゼルで開催されている、世界最大規模のアートフェア。世界最大級だが、本質的には専門家とコレクターたちに向けて開催されるため閉鎖的と言われている。現在はスイス・バーゼルの他に、マイアミと香港でも開催されている。
約300前後のフェア出展の枠に世界中から1000を超えるギャラリーの参加申込みが殺到し、厳しい選定基準が設けられている。毎年常連で参加しているギャラリーですら来年も参加できる確実な保証がないため、アート市場において最高レベルのフェアといわれ、参加することがギャラリーやアーティストたちにとってステイタスとなっている。

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いま世界で進む商業芸術の再評価。「NANZUKA」が拡張した現代アートの文脈について_image

いま世界で進む商業芸術の再評価。「NANZUKA」が拡張した現代アートの文脈について

少年漫画の原画がルーブル美術館で展示され、「マンガも芸術なの?」と驚きの声があがったことがある。時代をさかのぼれば浮世絵も、日本人がその価値を見いだすより先に、外国人の目を通して評価され、名品の多くが海を渡った。

渋谷にある現代アートのギャラリーNANZUKAは、田名網敬一や空山基など才能は認められていても、芸術としてみなされる機会がなかった作家の作品を、アートの文脈にのせ、世界に勝負を仕掛けている。

NANZUKA代表の南塚真史氏は、どのような姿勢でアートと向き合うのか。現代アート・コレクター/大学教授の宮津大輔氏に話を聞いて頂いた。

ギャラリーはなくなる?Take Ninagawaが思索する、これからのギャラリストの仕事_image

ギャラリーはなくなる?Take Ninagawaが思索する、これからのギャラリストの仕事

名だたるアート・フェアで存在感を発揮する、Take Ninagawa。そのオーナーの蜷川敦子さんは、ギャラリー立ち上げの経緯を「社会的な問題意識や時代背景を共有できる作家と、アートのフレームの中で自分にできることをしたかった」と振り返る。

実際の蜷川さんは、同志ともいえる同世代の作家との横のラインだけでなく、歴史という「縦のライン」も意識し、ギャラリストとしての役割を模索する。

アートの歴史を読み解きながら、作品一つひとつの文脈をすくいとり、マーケットや社会の動きに反応しながら、作家一人ひとりのやり方に寄り添う。そんな蜷川さんに、現代アートコレクターの田口美和さんがお話を聞いた。

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父から娘へ。タグチアートコレクションのこれまでとこれから_image

父から娘へ。タグチアートコレクションのこれまでとこれから

タグチアートコレクションの名で知られる、ミスミグループ創業者の田口弘さんの現代アート・コレクション。

現在、蒐集や管理は長女の田口美和さんに引き継がれ、さらなる広がりをみせている。2018年11月時点で、作品数は約470点。

これほどのビッグ・コレクターならば、「いつかはプライベート・ミュージアムを」という思いがあってもおかしくない。

しかし弘さんも、美和さんも、特定の箱(スペース)をもつことは考えていないという。

かといって、コレクションを自分たちだけの楽しみにすることもない。コレクションの質の高さから、美術館などから出品依頼の声がかかることも多く、むしろ積極的に公開をしている。

過去には、タグチコレクションの名を冠した展覧会もたびたび開催され、来年も北海道内の美術館を巡回する予定だ。

父から娘に引き継がれるコレクション。インタビューで、弘さんは、しばしば実業家としての顔をみせながらアート購入時のアドバイスや、現代アートが持つ力を語った。美和さんからは、ギャラリー巡りを始めたころの意外なエピソードが明かされた。

座談会「これだけは言わせて、日本の現代アート事情」_image

座談会「これだけは言わせて、日本の現代アート事情」

2008年春。活気あるビジネス街丸の内で、次世代を担う7つの若手ギャラリーによる展覧会が開催された。ニュートーキョーコンテンポラリーズと名付けられたそのイベントは好評を博し、同名のアソシエイションとして発足。東京のアートシーンの活性化を目指して活動した。

当時次世代として位置づけられたギャラリーもキャリアを積み重ね、現在はArt BaselやNADA Miamiなどの世界の名だたるアートフェアに出展し存在感を発揮している。1990年代に日本で現代アートの土壌を作ったギャラリストを第一世代とし、彼ら彼女らを第二世代とするならば、さらにその下の第三世代ともいえるギャラリストも出てきている。

今回、ニュートーキョーコンテンポラリーズで活動していた無人島プロダクションの藤城里香さん、青山|目黒の青山秀樹さん、MISAKO & ROSENのローゼン美沙子さん、ローゼン・ジェフリーさんによる座談会を企画。本連載「What is 現代アート!?」モデレーターの深野一朗とともに、日本の現代アート事情ついてざっくばらんにお話してもらった。

「You are what you "collect".」現代アート・コレクター深野一朗のコレクション観_image

「You are what you "collect".」現代アート・コレクター深野一朗のコレクション観

現代アートは、時に読み解くことがむずかしい。現在進行形なだけに、美術史におけるはっきりとした評価が定まっていないことも多い。そんなアート作品を購入するコレクターさんは、何をみて、何を決め手にしているのだろう。

そこで現代アート・コレクターの深野一朗さんに、こんな質問をした。

‟身近な方がアート作品の購入を迷っていたら、どんなアドバイスをしますか?”

深野さんは「何もいえません」と笑った。

現代アートとの出会いから、作品購入時のチェックポイントまで、深野さんはなんでも具体的に答えてくれていたので、この反応は少し意外だった。しかし「何もいえない」の先にあったのは、あらゆるジャンルの純粋なコレクターほど、深く共感できるであろう、深野さんのコレクション観だった。

あなたなら、どんなアドバイスをしますか?あなたは、何を集めますか?

質の高い現代アートを購入するために、いますぐ実践できること。_image

質の高い現代アートを購入するために、いますぐ実践できること。

宮津大輔さんは、1994年に草間彌生の作品を購入して以来コレクションを続け、現在はおよそ400点の作品を所有する日本を代表する現代アートコレクターだ。

国際的にも知られたコレクターだが、その紹介にはいつも「サラリーマン・コレクター」という「肩書」がついていた。そこには一般のサラリーマンでありながら極めて質の高いコレクションを形成していることに対する驚きと尊敬の念が込められている。

今ですら「現代アートを買う」という行為はそれほど一般的ではない日本で、四半世紀も前にそれを始めた動機は何か?どうすれば一般人でも宮津さんのような質の高いコレクションを築くことが出来るのか?

前編では「コレクター宮津大輔はいかにして生まれたか」その生い立ちと目利きになるための秘訣を探るべくお話を伺った。

後編となる今回は現代アートをコレクションすることに興味を持った方のために、アートを購入する際の最初のステップから、常に新しい才能を発掘してきた宮津さんがいま注目している作家まで、「現代アートを買う」という行為についてより具体的なノウハウを伺った。(モデレーター 深野一朗)