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Blaine L. Reininger “Book Of Hours”
前回、紹介しましたTuxedomoonの創設者でもあるBlaine L. Reiningerのソロ・アルバム”Book of Hours”を、今回は紹介します。Tuxedomoon時代に関しては前回書いた通りですので、ソロアーティストとしてのReiningerのバイオグラフィーについて書いてみます。彼は、Tuxedomoonのメンバーとして3枚のアルバムを出した後、1983年に完全にソロアーティストとして、1988年にバンドが再結成するまで活動に専念していますが、実は、その後も、ソロ活動も続けています。バンド在籍時には、John CageとAllen Ginsbergにインスパイアされており、それは、1982年にリリースされた彼のファースト・ソロ・アルバム”Broken Fingers”でも継承されています。1983年にバンドを脱退した時に、以前よりもっと電子音楽的な方向性の持ったアルバム”Night Air”を、Michael Belferと共に作製しています。なお、プロデュースはGareth Jonesが行っています。また、彼のソロは、ベルギーのレーベルLes Disques Du Crepusculeからリリースされています。その後、着実にEPやアルバムを出していきます。その後も、コラボ作品等も作製し、Durutti Columnとは”Short Stories For Pauline”と”Without Mercy”の2枚のコラボ・アルバムを出しており、この時期にはネオ・クラシックな音楽を作製しています。また、盟友Steven Brownとも”Colorado Suite”とライブ録音アルバム”Live In Lisbon”をリリース、ミニマルでクラシックな音楽をやっています。1989年には、William Lee SelfのバンドMontanablueにも曲を提供したりしていますが、Reininger自身もその曲を彼のソロアルバム"Songs From The Rain Palace"に再録音しています。この辺りで、本作品も録音されています。1990年代に、彼は、メジャーレーベルからソロのサントラ・アルバム”Radio Moscow”をPolygramから、”Kingdom Of Dreams”をSony Musicから出しており、後者はアンビエント・ハウスな曲だそうです。また、1994年には、UVO IIとコラボしたアンビエント・アルバム”Sound Of Heaven”を独自主レーベルからも出しています。1990年代後半には、ギリシャに移住し、まだ18歳だったJJ La Rueと結婚しますが、その直後に、彼女は心疾患で亡くなっています。この頃は、主に映像作品のサントラを主に作製しており、また彼自身も俳優業を始めています。また、2009年〜2011年に、再びWilliam Lee Selfとのコラボを行うことになり、Lee SelfのHamburgの自宅スタジオにて録音作業を行っています。2013年には、7人のダンサーと3人のミュージシャンの劇版もやっており、そのサントラはCrammed Discsよりリリースされています。Reiningerは2019年までは独自のペースで活動を続けています。 それで、本作品”Book Of Hours”は、Reiningerの活動が最も油の乗っていた頃の作品で、参加したメンツは、Blaine L, Reininger (Vo, Vln, G, Mandlin, Kbd, Drs [Octapad])の他に、Steven Brown (Sax, Kbd), Ivan Georgiev (B, Kbd), Luc Van Lieshout (Trumpet, Flugel Horn), Jo Moens (Drs), Paul Zahl (Octapad, Drs[B1]), Eric Sleichem (Sax [A1]), Ian Devine (G [A2]), Iben Larssen & Niki Mono (Back-Vo [B4])が参加しています。それで内容に関しては、一言で言えば、「ゴージャス」ですね。参加者の皆さん、結構、マルチ奏者の方が多いので、音にも厚みがありますし、アレンジも凝っています。A1 “Zombie Bop”やB4 “Come The Spring”なんかも、イカした曲ですし、A2 “Sainte Thérèse”やB3 “Salad Day”は色っぽいバラード調です。またA3 “Letter From Home”やB1 “El Paso”では、Reiningerがしっとりと歌い上げています。A4 “Software Pancake House”では歌詞に「寿司」とか「味の素」とか出てきて、意味不明です。B2 “To The Green Door”は中東風のアレンジに、朗々としたVoが響く曲で驚きます。また、A5 “Pavane”やB5 “Marchand De Feraille”なんかは、ピアノや弦楽器等を使ったインスト曲です。このように、色んなベクトルを持った曲で、我々を楽しませてくれます。正しく、映画のようなゴージャスさです❗️一度は聴いてみても良いのではないでしょうか。 https://youtu.be/q_EiP_HQ6vo #BlaineL.Reininger #BookOfHours #LesDisquesDuCrepuscule #SoloAlbum #Tuxedomoon #PopMusic #Theatrical #Gorgeous #Instrumental #VocalSong #StevenBrown #IvanGeorgiev #LucVanLieshout #JoMoens #PaulZahl #EricSleichem #IanDevine #IbenLarssen #NikiMono
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Malaria! “Weisses Wasser: White Water”
独逸モノが続きますね。今回は女性German New Wave(Neue Deutsche Welle)バンドMalaria!の12インチEPです。先ずは、このバンドについて。Mania DのメンバーであったGudrun Gut(グドゥルン・グート)とBettina Köster(ベッティーナ・ケゥスタ)が、Mania Dの解散後に、(後にLiaisons Dangereusesに加入する)Beate Bartel (ベアーテ・バルテル)によって西ベルリンで結成された電子的なポスト・パンク・バンドです。他のメンバーには、Manon P. Duursma, Christine Hahn, Susanne Kuhnke (Die Hautのメンバーでもあった)もいました。と言う訳で、NDWを語る上で、German New Waveの中の女性バンドとしては重要な存在でした。1993年に解散していますが、Malaria’としてはインディーズ・チャートでのヒットもあり、人気のあったバンドです。 今回の作品は、彼女等にとっては初の12㌅EPであり、メンバーもManon P. Duursma (G), Susanne Kuhnke (Synth), Bettina Köster(Vo, Piano), Calli (Dr, B), Gudrun Gut (Dr, Glass)と言う編成です。これからも解るように、ドコドコしたドラマを軸に、ギターやシンセが絡むと言うポストパンク・サウンドを叩きつけています。ちょっとだけ、独逸版PILを想起させますね。このEPは当時、ヨーロッパ中で各国のインディー・レーベルが立ち上がってきており、その中でも良質な作品をリリースしていたベルギーのクレプシュキュールからと言うのも納得です。本来なら、彼女達の正規のアルバムを紹介したかったのですが、今回、見つからなかったので,それはまた今度。また、この作品の片面”Kaltes Klares Wasser”はChicks On Speedが2000年にカバーをしているので有名になったそうな。因みに、オリジナルメンバーのBettena氏は2017年までは、音楽活動していたみたいですし、Gudrun氏もあれからずっと活動をしています(2021年に前衛チェリストのMarbe Frattiとの共作LP “Let’s Talk About The Weather”をリリースしてる)。やっぱり皆さん、力強いですね。 A “Kaltes Klares Wasser” (3:45) B “Weisser Himmel, Weisses Meer / White Sky, White Sea” (8:32) https://youtu.be/_MPy-O8trac?si=ZxNl_M_1EMj5Vujn #Malaria! #WeissesWasser:WhiteWater #KaltesKlaresWasser #LesDisquesDuCrepuscule #GermanNewWave #NeueDeutscheWelle #Rock #Electro #12inchEP #GirlsBand #ManonP.Duursma #GudrunGut #BeateBartel #SusanneKuhnke #Calli
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Les Disques Du Crepuscule 980円Dr K2